ウレタン防水とは
「ウレタン防水」とは、ウレタンを塗装樹脂として使用し、その樹脂を防水層として塗布する工法のことを指します。ウレタンは、柔軟で弾力性に富み、摩耗にも強い特性を持っています。これらの特性から、ウレタンはスポンジ、接着剤、自動車のタイヤなど、多くの日常製品にも利用されています。
防水工事には「ウレタン防水」「FRP防水」「シート防水」「シーリング防水」「アスファルト防水」など、複数の種類があり、ウレタン防水はその中の一つです。ウレタン防水は塗布するタイプの工法であるため、複雑な形状の表面でも防水塗装が可能です。また、他の防水工事と比較して、メンテナンスが比較的低コストで行えるという利点もあります。
ウレタン防水工事をするべきチェックポイント
屋上やバルコニー、ベランダで、ひび割れが見られたり、塗装が剥がれたり色褪せしている場合、それらの場所は劣化の兆しと考えるべきです。さらに、塗装の膜が浮いている、膨れている箇所、錆びた排水溝、雑草の発生、雨漏りや雨水の滞留も同様に劣化の徴候です。これらの状態を放置すると、更なる損傷の危険があるため、早急にウレタン工事等の防水処理を施すことをお勧めします。
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ひび割れ: 様々な箇所に見られます。
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塗装の劣化: 色褪せや剥がれが見られます。
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膜の浮きや膨れ: 塗装の膜が浮いていたり、膨れていたりする箇所があります。
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排水溝の状態: 錆びていたり、雑草が生えていたりします。
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雨漏り: 雨が降ると漏水が発生します。
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水滞留: 雨が降ったあとに水が溜まりやすい場所があります。
これらの問題を早期に発見し、適切な処理を行うことで、更なるダメージを防ぎ、長期的にコストも抑えることができます。
ウレタン防水、どんな工法がある?
ウレタン防水には、通気緩衝工法と密着工法の2種類の工法が存在します。どちらの方法を選ぶべきかは、建物の状態に左右されます。さらに、使用される工法によっても、その耐用年数は異なります。
通気緩衝工法
この方法は、通気緩衡シートを用いて、その上からウレタン防水材を塗布するものです。屋上、バルコニー、ベランダなどが時間の経過とともに、防水層の下地に水分が浸透し、雨漏りが発生することがあります。この方法では、下地の裏側に溝を設け、通気緩衡シートが水分を外部に逃がし、雨漏りや防水層の膨れを防ぎます。
・耐用年数: 約12年から15年
・工事費用: 1平方メートルあたり約5,500円から6,500円
メリット
長持ちし、メンテナンス工事が少なくて済む。
デメリット
初期費用が密着工法に比べて約1.5倍から1.7倍かかりますが、長期的にはコストを抑えることができます。
密着工法
この方法は、ウレタン防水材を直接下地に塗布し、その上に補強布を貼り付け、更にウレタン防水材を塗り重ねて仕上げます。この方法は下地を十分に乾燥させなければならないため、狭い場所での防水工事に向いています。
・耐用年数: 約5年から10年
・工事費用: 1平方メートルあたり約4,000円から5,500円
メリット
初期費用が低く、工期が短い
デメリット
下地処理が不十分だと問題が発生しやすく、耐久性が低い。適切な業者の選定が重要です。
決定要因
選択する工法は、予算、耐用年数の期待、そして建物の状態など、様々な要因に依存します。それぞれの工法には、メリットとデメリットが存在するため、各状況に最適な選択をすることが重要です。耐用年数の長さ、コスト、そしてメンテナンスの需要を慎重に検討し、プロジェクトのニーズに最適な方法を選択してください。
ウレタン防水とは
私たちがお勧めする「通気緩衝工法」を利用したウレタン防水工事は、専門業者によって4段階で行われます。ここでその手順を紹介します。
1. 仮防水を施す
まず、既存の防水層を取り除きます。この時、下地が露出しますので、雨が降るとすぐに雨漏りの危険があります。そこで、本格的な防水工事の前に、カチオン樹脂による仮防水を施します。このステップは、専門の業者でないと省略されることがあります。
2. 通気緩衝シートを設置
次に、水を効率良く吸収するAGC旭硝子製の「サラセーヌ」という通気緩衝シートを取り付けます。一部の業者では、他の通気シートも使用されることがあります。専門業者は、建物やその状態に応じて適切な製品を提案します。
3. ウレタン剤の塗布
ウレタン剤を塗布します。このステップでは、気温や天気によって作業の速度を調整する必要があります。例えば、晴れた日にはウレタン剤が早く硬化するため、迅速に作業を進める必要があります。
4. 手すりの補強
最後に、手すりが不安定な場合、腐食を防ぐクラウド剤を注入して、手すりを補強します。これにより、安全性が向上します。
専門の防水工事業者は、防水工事だけでなく、全体の安全対策にも配慮します。省略や手抜きがないようにし、細部まで注意を払う専門業者を選ぶことで、工事後のトラブルを避け、満足のいく結果が得られるでしょう。