塩ビシート防水(合成高分子系塩ビシート防水)とは
合成高分子系塩ビシート防水、塩化ビニル樹脂を原料としたシートを、接着剤や塩ビ鋼板などで固定し、ジョイント部を溶融一体化して連続被膜を形成する防水工法です。
短い工期 で施工が可能で他の防水シートに比べ色彩の豊かさが特⻑です。
メーカーにより塗料を塗ることで断熱性・遮熱性や耐久性をアップさせることが可能です
塩ビシート防水の工法は、「密着工法」と「機械的固定工法(アンカー固定工法)」の2種類あり、下地の種類や状態によって選びます。
まず「密着工法」とは、接着剤などで下地に直接塩ビシートを貼り付ける工法です。
シート が下地に直接密着するため、耐風圧性に優れています。
しかし、下地の影響を受けやすいため、下地が水分を含んでいたり劣化していたりする場合には向きません。
下地が十分に乾燥している状態でなければ、シートの膨れなどの不具合が発生しやすくなります。
次に「機械的固定工法(アンカー固定工法)」とは、下地のコンクリートやALC、木地にあらかじめ鋼板をビスによって固定しその鋼板に塩ビシートを熱着、溶着、融着で接着させる工法、機械的固定工法(アンカー固定工法)は密着工法よりも主流の工法で下地と塩ビシートを直接密着させないため、地震にも強く、下地の補修や調整が最低限で済みます。
そのため、リフォームなどの改修工事に適した工法です。
しかし、下地との接合に一定の強度は必要なため、施工前に下地の強度を確認する必要があります。
メンテや改修方法は既存防水層を撤去して施工する方法もありますが既存防水材の撤去が難しいことや撤去作業の間で雨が降るなどの問題があるため既存防水層を撤去せずに施工できます。
また塩ビシート防水 の下に断熱材などを入れることも可能です。
水密性
塩ビシートは塩ビ樹脂の特徴を活かしてジョイントのつなぎなどは熱や溶剤で溶着してつなぐことが可能です。
自己消炎性機能
塩ビシートは自己消火性を持ち、近隣からの飛び火などに対して延焼しにくい素材です。
火種を近づけると着火しますが火種を取り除くと燃え広がらないで火が消えます。
鳥害に強い
屋上防水は普段人の出入りが少ないため、カラスなど鳥によりクチバシでつつかれたり引き裂かれたりする事例が確認されていますが鳥害による被害がすくないです
水蒸気透湿性
塩ビシート自体に水蒸気透湿性があるので建物の湿気はシートの外へ透過していきます
均一な仕上がり
塩ビシートは工場にて製造されるため物性・寸法が一様で均一な厚みを持つ防水層が確保できます。
塗膜防水は施工職人や施工会社によって防水層の厚みが変わる可能性があります。
工期短縮
塩ビシート防水は他の防水シートに比べシートが単層敷設で済むため工程が少ない。
また塗膜防水などの塗り重ね乾燥時間も不要な為、施工性が高い
シートの種類
塩ビシート防水はカラーバリエーションが豊富です。
その他にも高反射シート、高耐久シー トがありシートの厚みも1.5mmと2mmを選べます。
施工箇所
塩ビシート防水は鋼板をビスで固定などを行いますので、狭い箇所や障害物が多い屋上の施工は割高になり施工しにくいことなど不向きです。
屋上など広い箇所に施工するのがおすすめです。
マンションやビルなど高層の建物屋上、倉庫・工場・商業施設など
塩ビシートのメンテナンス
塩ビシート防水は他の防水と違いトップコートの塗り替えメンテナンスは必要ありませんとメーカーカタログなどに記載があります。
ウレタン防水やFRP防水には5年ごとに保護塗料によるメンテナンスが必要とメーカーカタログなどに記載があります。
メンテナンス費用を抑えたい方にお勧め。
塩ビシートの捲れ、剥がれ、破れが発生している場合は専門業者に点検を依頼しましょう。
塩ビシートの一番のデメリット
塩ビシート防水の最大のデメリットは機械的固定工法(アンカー固定工法)の場合、後半の固定にドリルで穴をあけるため、近隣や住んでいる住人のかた、特に防水層の真下の階に騒音や振動が発生します。
塩ビシートを施工する前にはしっかり事前の挨拶お知らせが重要になります。
その他の注意事項
防水材には非歩行、軽歩行、一般歩行、重歩行などがあり、塩ビシート防水は一般的に非歩行または軽歩行用になっています。
非歩行は立ち入りを前提としない仕様、防水層を傷つけない履物で防水総統の点検・清掃を行う程度。
軽歩行は常時歩行を前提とせず専住者あるいは専門者に限定し防水層を傷つけない履物で歩行する。
一般歩行は特定の方が集う場所や常時歩行を前提とした仕様でその場合、塩ビシートの上に防滑性ビニル床シート、コンクリ ート成形ブロック、クッションマット敷いて塩ビシートの直接傷をつけない仕様にすることが必要です。
塩ビシート防水は、作業に専門性が高いものが多く、施工難易度が高い防水工法です。
そのため、塗装業者やリフォーム業者では、シート防水を施工した経験が少ないことも考えられます。
塩ビシート防水を検討する際は信頼できる防水専門の会社に依頼することが重要です。